【オーナー社長は必見】法人名義で車を買うとお得な理由と注意点【かしこく節税】

2023.06.27

どうして法人名義で車を買うとお得なの?
法人名義で車を買うときに気をつけるべきポイントは?
 
こんな悩みに答えます。
 
法人を設立したからには、しっかりと節税対策にも力を入れたいですよね。
 
実は、車は個人名義よりも法人名義で買う方がお得です。
特に高級車であるほど、お得なことも。
 
本記事では、
法人名義で車を買うべき理由と4つのメリット
法人名義で車を買うときの4つの注意点
をお伝えします。
 
大きく節税できるケースがありますので、知らないと損するかもしれません。
 
法人名義で車を買って節税効果を高めるべく、ぜひ最後までご覧ください。
 

法人名義で車を買うとお得な理由

お得な理由は下記の2つ。
 
法人名義で車を買うと社長個人の所得税なども節税できる
減価償却費として経費に計上できる
 
順番に解説します。
 

法人名義で車を買うと社長の所得税なども節税できる

法人名義で車を買うと、社長個人の所得税・住民税・社会保険料を軽減できます。
 
具体例を用いて説明します。
 
【社長個人が500万円の車を買う場合】
個人が納める税率(所得税+住民税)を50%と仮定すると、個人の手元には1,000万円が必要
法人は個人へ役員報酬として1,000万円を支給しなければならない
個人側では1,000万円の給与が発生するので、その分の所得税・住民税・社会保険料がかかる
 
つまり、役員報酬の半分にあたる500万円を納税しなければなりません。
 
【法人が500万円の車を買う場合】
法人が車の費用として500万円を支払うのみ
個人には所得税・住民税・社会保険料は発生しない
 
このように法人名義で車を買った方が、500万円を余分に支払わずに済みます。
 

減価償却費として経費に計上できる

法人名義で車を買うと、減価償却ができますので、法人税の節税につながります。
 
【減価償却とは】
10万円以上の価値があり、1年以上使用できる固定資産を、耐用年数に基づいて費用計上すること
 
【償却方法は2種類】
定額法:毎年の減価償却費が同額になるように計算
定率法:資産の帳簿価額に一定の割合を乗じて計算
 
基本的には定率法で償却する法人の方が、早い段階で節税できるメリットがあります。
それぞれの計算例は下記のとおり。
 
【500万円の普通車を新車で買った場合】
・償却方法:定額法
・耐用年数:6年(普通車)
・法人税率:30%として計算
・計算方法:5,000,000円×0.167=835,000円(毎年83.5万円が経費)
      835,000円×30%=250,500円(毎年の節税額)
      250,500円×6年≒1,500,000円
      ※本来は残存価額が備忘価額である1円を残して減価償却する
 
【500万円の普通車を新車で買った場合】
・償却方法:定率法
・耐用年数:6年(普通車)
・法人税率:30%として計算
・計算方法:5,000,000円×0.333=1,665,000円(1年目の節税額:1,665,000円×30%=499,500円)
      3,335,000円×0.333=1,110,555円(2年目の節税額:1,110,555円×30%=333,167円)
      2,224,445円×0.333=740,740円(3年目の節税額:740,740円×30%=222,222円)
      1,483,705円×0.334=495,557円(4年目の節税額:495,557円×30%=148,667円)
      988,148円×0.334=330,041円(5年目の節税額:330,041円×30%=99,012円)
      330,041円−1円=330,040円(6年目の節税額:330,040円×30%=99,012円)
 
定率法の特徴は次の2つです。
一定の割合で償却費を計算するので、早期に費用化できる
5年目以降のように償却額が保証される(改定償却率・償却保証額を考慮するため)
 
上記の例はどちらも単純計算ですが、トータルで約150万円を節税できます。
 
当然、個人が車を購入しても節税にはつながりません。
 
      
償却率表は下記の国税庁HPをご参照ください。
 
『減価償却資産の償却率等表』https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf
 

法人名義で車を買うメリット4つ

法人名義で車を買うメリットを4つご紹介します。
 
ランニングコストを経費に計上できる
個人で法人から車を安く買える
価値のある資産として緊急時に備えられる
法人向けローンで車を買える
 

ランニングコストを経費に計上できる

結果的には法人税の節税につながります。
 
個人事業主にも共通しますが、事業で使う車のコストはすべて経費に計上できるからです。
 

具体的には下記の費用です。
・車検費用
・ガソリン代
・駐車場代
・自賠責保険料
・自動車保険料
・自動車に関する税金 など
 
ただし、プライベートの使用分とは切り離してくださいね。
 
例外はありますが、基本的には事業に関する使用分が経費として認められます。
 

個人で法人から車を安く買える

法人・個人間での資産の引き継ぎであれば、不要になった車を安い金額で譲渡できます。
 
下取り査定やオークションなどでは、業者からの手数料や利益が上乗せされるからです。
 
ただし、安すぎる金額での譲渡は思わぬ税金が発生しかねないのでご注意ください。
 

価値のある資産として緊急時に備えられる

困った時には車を売れば資金を確保できます。
 
業績が悪く赤字の見込み
資金繰りに困る
緊急でまとまった資金を用意したい
 
上記のような有事の際にも、『車を売る』という選択肢を確保できます。
 
資産として管理していなくても、簿外資産としてのお守りがあると心強いですね。
 

法人向けローンで車を買える

法人向けローンでは、個人の所得の範囲を超えてもお金を借りられます。
 
なぜなら、個人向けローンとは異なり、年収の3分の1以上を融資してはいけないという総量規制の制限がないからです。審査では、法人の信用性や支払能力が対象です。
 
購入資金が大きくてもローンを組めば、事業資金を圧迫しなくなるメリットも。
 
ただし、法人名義で利用できるローンは限られていますし、もちろん借り入れたお金は事業に使う車の購入が対象です。
 
ご利用の際は、銀行やカーディーラーなどで相談しましょう。
 

法人名義で車を買うときの4つの注意点

法人名義で車を買う前に、気をつけるべきポイントを4つ厳選しました。
 
新車・中古車で減価償却の耐用年数が異なる
車を買うタイミングに気をつける
リセールバリューを意識する
事業内容に適した車を買う
 
損しないためにも必ずチェックしましょう。
 

新車・中古車で減価償却の耐用年数が異なる

法人名義で車を買う前に、車に適用される減価償却時の耐用年数に気をつけましょう。
 
下記のように新車・中古車で考えが異なるからです。
 
新車の普通乗用車:6年
 
新車の軽自動車:4年
 
中古車(普通乗用車)は下記の計算式
 新車の登録から6年以上経過:耐用年数×20%
 新車の登録から6年未経過:(耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
 
 ※端数が出れば切り捨てます。
 ※2年未満となれば、2年を耐用年数として適用します。
 
法人で車を買う際には、事前に押さえておきましょう。
節税対策に直結するからです。
 
その理由は以下で深掘りします。
 

3年10ヶ月を経過した中古車がおすすめ

法人名義で車を買うなら、中古車での購入が節税効果が高いのでおすすめです。
 
その理由は、
 
新車登録から3年10ヶ月以上経過した車の耐用年数は2年
定率法で計算した場合、耐用年数が2年の中古車は1年目の償却率が100%
車を買った事業年度に、購入費の全額を経費で落とせる(早期に費用化できる)
今後も中古車を買えば、短いスパンで全額を経費にでき、短期間で高級車を乗り換えられる
 
このようなメリットがあるからです。
 
法人名義で車を買うなら中古車も必ず検討しましょう。
 

車を買うタイミングに気をつける

車の購入は決算月の翌月にしましょう。
法人名義で中古車を買って、1年など早期に費用化したい場合はご注意を
 
減価償却は年単位ではなく、月単位で計算するからです。
 
【4年落ちの中古車を買う場合】
○:3月決算の法人が4月に納車→12ヶ月にわたり全額を経費にできる
×:3月決算の法人が3月中に納車→その年度は1ヶ月分しか経費にならない
 
ローンで買う場合も考え方は同じです。
ただし、起算点はローンを組んだ日ではなく、車両を納車した日になるのでお忘れなく。
 

リセールバリューを意識する

法人名義で車を買うなら、必ず高値で売れる車(リセールバリューが良い車)を購入しましょう。
 
下記のようなメリットがあります。
高値で売れるので手元にお金が残る
価値のある資産として、より多くの金額を有事の際に備えられる
次回の車の購入費により多く充てられる
 
また、リセールバリューに良い車の特徴は、
国内もしくは海外で人気(需要)がある車
納期に時間がかかる車
希少性の高い車(数量限定販売、生産中止モデル)
ボディーカラーが白や黒
 
たとえば、国内車だとアルファードやランドクルーザー、外車だとベンツのGクラスなどは値崩れがしにくく、とても人気のある車種として有名です。
 
法人名義で車を買ったなら売るまで、出口戦略をしっかり立てておきましょう。
 

事業内容に適した車を買う

「高値で売れる高級車なら、思いきってフェラーリを買おう!」という考えにはご注意を。
 
法人名義で買う車は、
 
事業をするうえで必要か
公私の区別がついているか
車の購入費が事業で得られる利益と照らして不相当ではないか
 (今期利益が1,000万円なのに、2,000万円の高級車を買うなど)
 
などを証明できるように、客観的な証拠を残しましょう。
 
経費で落とす以上、税務署は事業との関連性・必要性・妥当性などを必ずチェックします
場合によっては経費として認められないケースもあるので気をつけてくださいね。
 

まとめ

今回は個人名義より法人名義で車を買う方が、圧倒的に有利な仕組みについて解説しました。
 
経費へ計上でき、法人税や社長個人の所得税などを節税できる
価値のある資産として残し、有事への備えにもなる
約4年落ちの中古車を決算月の翌月に買えば、1年で減価償却できる(法人税の節税)
法人の事業内容に違和感のない、売れる車を選ぶべき
 
特に記事の後半の注意点は要チェックです。
節税しつつ、お得に賢く、車選びを進められること間違いなしです。
 
本記事でお伝えした内容を参考に、法人名義で車を買うメリットを最大限に活かしましょう。
 
 
 
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監修者  
 

税理士 篠塚啓三
税理士 篠塚啓三
1975年生まれ 埼玉県所沢市出身
早稲田大学商学部卒業
関東信越税理士会、所沢税理士会に所属
 
 
大学卒業後、一般企業を経て
 平成15年4月 シン中央会計 入社
 平成18年12月 税理士登録 登録番号106985
 平成29年11年 税理士法人シン中央会計 代表に就任

主に創業間もないスタートアップの顧客向けに、クラウド会計の導入やバックオフィスの合理化、経営数値の見える化や事業計画作成、金融機関からの資金調達など、幅広い支援を行っている。

 
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