領収書が出ない経費ってどうするの?
2022.03.01
従業員などが支払った金額を会社の経費とするには、
①支払日、②支払先、③支払金額、④支払内容 が明確でなければなりません。
そのため、支払先からもらった領収書等(レシート)を提出してもらうことが一番良いのですが、
取引によっては領収書等が出ない場合もありますよね
たとえば、
自動販売機での支払い
ETC料金や電車やバスなどの交通費
祝儀や香典などの慶弔費
などです。
これらは、領収書がない場合でも、代わりの書類を用意すれば、経費として計上することができます。
●領収書が出ない時の対応方法
【出金伝票】
出金伝票とは、会社が、誰にいくら支払ったかを記載する伝票のことです。
自動販売機や慶弔費など、領収書等の出ない現金払いがあったとき、
これに上記の①~④を記載して、領収書等の代わりにします。
不正防止のために、社内の規程で、発行者や発行できる状況を限定するとよいでしょう。
【ETCや交通系ICカードの明細や履歴を活用する】
ETC料金や電車やバスなどの交通費は、ETCの利用明細、交通系ICカードやアプリの利用履歴を
保存しましょう。
出張時の旅費などに対し、会社で定めた精算方法があれば、もちろんそれで構いません。
【慶弔費は招待状や会葬御礼も一緒に保管する】
祝儀や香典などは、出金伝票と一緒に、支払先と会社との関係が分かるように
招待状や会葬御礼も保存します。
税務調査で不利に…
会社には、「取引に関して作成し、又は受領した書類」を保存しなければならない義務があります。
この書類とは、会社が作成したり相手から受け取ったりした
「注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類」
(写しのあるものは、その写し)
と定められており、ここで「領収書」が出てきます。
そのため、税務調査では、領収書などの書類が保存されているものとして提示を求められます。
明らかに領収書等が交付されるはずの取引についても、出金伝票ばかりというのは、
心証が良くありません。
法律に従った書類の保存をしていないと判断された場合、青色申告の承認を
取り消されてしまうリスクもあります。
消費税の納税額が上がることも
消費税の仕入税額控除は、課税仕入れの際に交付を受けた「請求書等」の保存がなければ、
原則として適用できないルールになっています。
この「請求書等」とは、課税仕入れを行った相手から交付を受ける請求書、納品書、領収書などの
書類のことです。
つまり、自社で作成した出金伝票や、クレジットカード会社が発行する明細書は、
課税取引の相手から交付を受けているわけではないため、それらに記載された金額から
仕入税額控除を適用することはできません。
(クレジットカード決済時に相手から交付される「ご利用明細」なら可)
ただし、例外として、請求書等の保存がなくても仕入税額控除を計上できるケースがあります。
そのケースとは、下記の2つです。
・一回の取引き額が税込み3万円未満の場合
・請求書等の交付を受けられないことにつき、「やむを得ない理由」がある場合
やむを得ない理由
・自動販売機を利用した場合
・入場券、乗車券、搭乗券等のように書類が回収されてしまう場合
・相手に書類の交付を請求したが、交付を受けられなかった場合
・課税期間の末日までにその支払対価の額が確定していない場合
・その他、これに準ずる理由
「やむを得ない理由」により、請求書等を保存せずに仕入税額控除を適用する場合は、
やむを得ない理由と支払先の住所や所在地を帳簿に記載します。
●まとめ
領収書(レシート)が出ない=経費に出来ない わけではないので、ご安心ください。
適切な処理で経費化していきましょう。
そして、経費化する上で一番大切なのは「理由」です。
なぜ、経費なのか。そして何故領収書が出なかったのか…。
説明出来る状態にしておけば、税務調査も安心です。
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