【失敗しない】会計ソフトの選び方と注意点【税理士目線で回答】

2023.07.07

会計ソフトって必要なの?
失敗しない会計ソフトの選び方が知りたい。コツはあるの?
 
こんな悩みにお答えします。
 
ネット検索すれば多くの情報があり、どの会計ソフトを選べばいいのか迷いますよね。
法人設立当初なら、なおさらバチっと会計ソフトを選びたいところ。
 
とはいえ、行き当たりばったりで会計ソフトを選んでしまうと、何回も買い替えるハメになったり、
余計な労力を費やしかねません。
 
今回は税理士目線で、
会計ソフトがもたらすメリットや利便性
会計ソフトをフル活用するための失敗しない選び方
金銭リスクを抑えつつ会計ソフトを選ぶ方法
 
これらを解説します。
 
本記事を読み終える頃には、会計ソフトを選ぶ方法を熟知できますので、ぜひ最後までご覧ください。
 
 

会計ソフトが必要な理由

結論、会計ソフトは導入しましょう。
 
会社を作ると年に1回の決算があります。個人事業主の確定申告も同じです。
その際に、1年間の取引をまとめた決算書と申告書の作成が必要になりますが、会計ソフトは
その決算業務を手助けしてくれる優秀なツールなのです。
 

会計ソフトを導入するメリット

メリットは、
ほとんどの作業を自動化できる
データ管理ができるので便利
ヒューマンエラーを軽減できる
 
かなり時短できますので、業務効率をグッと高められます。
まさに『時間を増やす魔法のシステム』でしょう。
 
もちろん、会計ソフトの費用は経費にできます。
 

会計ソフトを導入するデメリット

正直、ほとんどありません。
 
挙げるとすれば、
コストがかかる
手間がかかる
情報漏洩リスクがある
 
会計ソフトは間違いなく便利なツールです。
 
 

会計ソフトの種類と特徴

会計ソフトは主に3種類あります。
 
インストール型
クラウド型
オンプレミス型
 
オンプレミス型は導入コストが大きく、規模の大きい企業で採用されることが多いです。
中小企業や個人事業主では、インストール型かクラウド型が主な選択肢になるでしょう。
 
インストール型は堅実な使用感と根強い人気がある一方で、クラウド型は利便性が高くユーザー数も増加傾向にあります。
 
これから会計ソフトを選ぶならクラウド型がおすすめですが、下記の特徴を踏まえて検討しましょう。
 

インストール型

インストール型は会計ソフトをパソコン本体にインストールして使います。
 
【メリット】
オフラインで使えるので、動作が圧倒的に早い
買い切り(月額課金制ではない)
機能が充実していることが多い
 
【デメリット】
一部のOSに対応していない可能性がある
外注時や複数のスタッフで行う場合など、パソコンごとにライセンスが必要なら費用がかさむ
バージョンアップに費用がかかる
 

クラウド型

クラウド型は、インターネットを介してクラウド上の外部サーバーにデータを保存します。
 
【メリット】
ネット環境があればどこでも使用でき、スマホ・タブレットとリアルタイムで連携できる
複数のIDを発行でき、税理士とデータ共有しやすい
パソコンのOSを問わない
バックアップ・バージョンアップが不要で、最新の情報や税制に適応できる
多様なAPI連携ができる

【デメリット】
ネット環境に左右される
機能が充実していないことがある
月額課金なのでずっとお金がかかる
システムメンテナンスに入るとしばらく使えない
 
では、それぞれの特徴を踏まえ、会計ソフトを選ぶときのポイントをお伝えします。
 
 

会計ソフトの選び方【失敗しない5つのポイント】

会計ソフトの選び方として、「最低限、ココを押さえれば失敗しない」ポイントを5つ説明します。
 
使用している機器のOS・性能に対応しているか
事業内容に合っているか
仕訳入力などの機能が充実しているか
サポート体制は充実しているか
バージョンアップに対応しているか
 

機種・OSに対応しているか

パソコンの機種・OSへ対応しているかをチェックしましょう。
 
インストール型はMacに対応したものが多くはありません。
「普段はMacだけど、会計業務はWindows」という方も多いです。
 
また、使い勝手を重視するなら、スマホ・タブレット端末への対応も要チェックです。
クラウド型の会計ソフトの方が対応が進んでいることが多いです。
 
領収証などの記帳を、スマホからコツコツ隙間時間を使ってできると非常に便利。
入力だけでなく、結果を見る画面の見やすさもチェックしましょう。
 

事業内容に合っているか

『個人向け』『法人向けか』を見分けましょう。
 
会計ソフトによって仕様が異なるからです。
 
個人だと決算書といえば、おおむね貸借対照表と損益計算書が使えれば問題ないでしょう。
一方で、法人だと貸借対照表と損益計算書に加え、通常は株主資本等変動計算書、個別注記表も
必要です。
 
個人と法人では課税される税金の種類も異なりますし、会計ソフトの値段も変わります。
 
高性能・高額な会計ソフトを個人事業主が導入しても不要な機能が多く、使う機会がなければ
コストがかさむのでご注意ください。
   

機能が充実しているか

機能が充実している(もしくは拡張性の高い)会計ソフトを選びましょう。
業務の効率が高まり、時短に直結するからです。
 
たとえば、
仕訳アシスト機能
仕訳ルール学習機能
辞書機能 
POSシステムとの連携機能
 
など様々あります。
 
課税事業者の場合は、消費税の集計データだけではなく申告書も作成できるソフトがおすすめです。
消費税の種類(10%、8%、非課税)もきちんと選べるかチェックしましょう。
 
また、機能はカスタマイズできるかもあわせて確認しておくと良いでしょう。
将来的な事業規模や業種の変化などにも対応しやすいからです。
 
たとえば、勘定科目のカスタマイズ。
 
製造業であれば原価計算を伴う会計処理が必要ですし、医療法人であれば医療法人会計基準に従った
会計処理が必要です。
会計ソフトによっては業界独自の会計処理に対応していないソフトもありますので、機能をカスタマイズできると使い勝手が良いですね。
 

サポート体制が充実しているか

サポート体制の充実度は重要です。
会計の知識がなくてもスムーズに進められるかに影響します。
 
たとえば、
ヘルプセンターはあるか
電話やチャットができるか
リアルタイムで質問ができるか
ソフトの導入支援はあるか
 
これらをチェックしましょう。
 
慣れないうちは心強いサポートになります。失敗しないためにも確認しましょう。
 

バージョンアップに対応しているか

税制改正や様式変更など、法的要件に対応できるかがポイントです。
 
上記のような改正・変更のたびに
買い替える
必要になった機能をカスタマイズする
別ツールで管理する
 
その都度、対応に追われるのは大変です。
 
インストール型は買い切りが基本ですので、追加料金を払ってでもバージョンアップに対応しているか
確認しましょう。
 
クラウド型は基本的に自動でバージョンアップされますので、常に最新の状態に保たれます。
 
法改正にスピーディーに対応できる会計ソフトを選びましょう。
直近であれば電子帳簿保存法への対応や、インボイス制度に対応している会計ソフトを選びたいところです。
    
 

会計ソフトの選び方【業務効率を上げる3つのポイント】

会計ソフトの選び方として、「業務効率がグッと上がる!」ポイントを3つ説明します。
 
API連携に広く対応しているか
経営分析ツールは充実しているか
顧問税理士が使う会計ソフトと同じか
 
これらを意識して、コスト削減や時短につなげましょう。
 

API連携に広く対応しているか

API連携とは、会計ソフトと経費精算・POS(販売管理)・銀行口座・クレカなどとの連携を指します。
 
会計ソフトを選ぶ際にAPI連携を重視すると、選択肢はクラウド型が中心になるでしょう。
 
API連携に広く対応できるほど、データ連携により自動で記録される情報が多くなり、
入力作業が激減
業務効率が良くなる
時短につながる
 
など、バックオフィス業務の事務負荷の軽減にもつながります。
 
たとえば、銀行口座からオフィスの電気代として10,000円引き落としがあると、会計ソフトには
オフィスの電気代が10,000円が引き落とされたと記載されます。
明細の内容や日付が自動連携されますので、入力の手間は不要になります。
 
ただし、「メインバンクのAPIは対応していなかった…」、「使用しているPOSに対応していなかった…」など、会計ソフトによって対応していない銀行/システムもありますので、事前に必ずチェック
しておきましょう。
 

経営分析ツールは充実しているか

経営分析も細かくできる会計ソフトを選びましょう。
 
一般的に会計ソフトは、仕訳書の作成から決算書の作成までにそれほど大きな差はありません。
しかし、経営分析ツールの有無が便利さに差をつけます。
 
グラフ表示機能(収益性、生産性、安全性、成長性などを可視化できる)
表の出力機能(融資申請でも使える資金繰り表などの作成)
原価計算への対応(製品の製造原価を計算)
管理会計への対応(経営判断に役立つ)
 
一例にはなりますが、これらのツールがあれば経営にも役立てられます。
会計に必要な情報を最大限活かしましょう。
 

顧問税理士が使う会計ソフトと同じか

顧問税理士と同じ会計ソフトだと、
クラウド型ならデータの共有がしやすい
会計ソフトの使い方を教えてもらえる
やり取りがスムーズに行える
 
など、会計業務の効率化につながります。
 
法人の場合は、会計処理のチェック、決算・税務申告を税理士に依頼することが多いでしょう。
会計ソフトの費用は税理士費用と別になりますので、事前に打ち合わせした方が無難です。
   

会計ソフトの無料トライアルをフル活用しよう

「あれ?思っていたのと違う…」とならないように、お試し期間をフル活用しましょう。
 
パッケージには『簡単』と書かれていても、実際には難しいケースはよくあること。
 
下記のような着眼点でチェックしましょう。
 
自身の簿記の知識で使えそうか
記帳しやすいか・わかりやすいか
スマホ・タブレットでも使いやすいか
外部とのAPI連携はうまくできそうか
申告書など出力機能をうまく使えそうか
 
無料で使える間に仕様面や機能面をくまなくチェックし、使いやすい会計ソフトを選びましょう。
  

会計ソフトの導入は補助金を活用しよう

『IT導入補助金』を活用できるか検討しましょう。
 
対象は国内の中小企業や小規模事業者などです。
 
費用は先払いになりますが、会計ソフトの導入コストを軽減できるのでおすすめです。
 
また、補助金は会計ソフトの購入だけが対象ではありません。
 
実は会計ソフトを導入する前提であれば、パソコンも調達できます。
こちら(https://www.it-hojo.jp/first-one/)より、最新の情報をチェックしましょう。
 
 

まとめ

今回は会計ソフトの選び方についてポイントを解説しました。
 
検討するポイントは多いですが、丁寧にチェックする価値は大いにあるでしょう。
 
本記事の内容のおさらいです。
 
結論、業務効率が上がり時短につながるので、会計ソフトはあった方が良い
会計ソフトは3種類あり、個人事業主や中小企業ならインストール型かクラウド型がおすすめ
各種ポイントを押さえたうえで、クラウド型は多機能でメリットが多い
無料トライアルをフル活用し、補助金でお得に会計ソフトを導入しよう
 
会計ソフトの選び方を押さえていないと、「こんなはずじゃなかった」と後悔しかねません。
何事も事前のリサーチが肝心。
 
会計ソフトの扱いに慣れている税理士に相談するのも得策ですよ。
本記事が会計ソフトの選び方の参考になれば幸いです。
 
 
 
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監修者

税理士 篠塚啓三
税理士 篠塚啓三
1975年生まれ 埼玉県所沢市出身
早稲田大学商学部卒業
関東信越税理士会、所沢税理士会に所属大学卒業後、一般企業を経て
平成15年4月 シン中央会計 入社
平成18年12月 税理士登録 登録番号106985
平成29年11年 税理士法人シン中央会計 代表に就任主に創業間もないスタートアップの顧客向けに、クラウド会計の導入やバックオフィスの合理化、経営数値の見える化や事業計画作成、金融機関からの資金調達など、幅広い支援を行っている。

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