役員報酬の決め方

2021.12.14

届出書の提出、法人口座の開設、お疲れ様でした!

 

上記のお手続きがまだお済でない方はこちらを参考に行ってください。
 参考:創業時の届出について
 参考:法人口座の開設、資本金の入金

 

税務の届出書を出した後は、社会保険の手続きをしましょう。
ですが、手続きをする前には「役員報酬をいくらにするのか」を決める必要があります。

 
 
 

●役員報酬とは?
 役員報酬は社長を含む取締役の方に出す給与のことで、法人の利益操作が容易なことから、
 厳しい取り決めがあります。
 

 定期同額給与
 ・役員報酬は毎月”定額”でなければ法人の経費として認められません。
  変更出来るのは、事業年度開始後3ヶ月以内であり、それ以降は翌期まで定額にする
  必要があります。
 

 事前確定届出給与
 ・サラリーマンのように夏季・冬季賞与が欲しい、という方もいますが、
  原則的に役員は賞与も経費として認められません。
  ただし、事前に税務署に”支払日”と”金額”を届け出ることで、特別に経費として認められます。

 

 
 

●役員報酬の決め方
 では、実際に役員報酬を決めるにあたって、どのように金額を算出したら良いでしょうか。
 よく使われる考え方を2つ挙げさせていただきます。
 

 ①1年間の利益予測から役員報酬を算定する
 ・設立時に1年間の売上目標や予測がたっている場合は、
  売上から原価・固定費を引き、利益を算出していきましょう。
  利益がしっかりと出るようであれば、法人に残す金額を考えながら、
  役員報酬を自由に設定しましょう。
  利益が出ない、もしくは赤字の予測であれば、資金繰りを見ながら設定しましょう。

 

 ②役員の生活費から必要な役員報酬を逆算する。
 ・まずは毎月必要な生活費を計算してみてください。
  出た金額が”手取り”で必要な金額になりますので、そこから所得税・
  住民税・社会保険料を逆算して、役員報酬を設定します。

 
 
 

●役員報酬を決める上での注意点
 上記のように役員報酬の金額を決めていきますが、注意しておきたい事項があります。

 

 ①所得税率・住民税率を考慮する
 ・役員報酬にかかる所得税は金額が大きい程、税率も上がるので、
  「所得税率高すぎる」とならないようにしましょう。
 ・また、多くの方は住民税が普通徴収(ご自身で納税)になりますので、
  後から住民税(昨年の所得より算出)を支払うこともお忘れずに。

 

 ②社会保険料を考慮する
 ・法人では社会保険に加入をする必要があります。
  個人と法人で折半ではありますが、法人分もご自身の法人から支出しますので、
  役員報酬が高いほど、法人経費も増加します。

 

 ③自治体の給付金や免除制度を考慮する。
 ・自治体によっては、「児童手当」や「こども医療費」、「学校の授業料」に
  所得制限がある場合があります。
  意図せず、超えてしまわないようにしましょう。

 

 ④同業他社と比較して、過度に高額にならないようにする。
 ・法人税法では、役員報酬が高額すぎると否認される可能性があります。
  同業他社と比較して、数倍も大きな金額にならないように気を付けましょう。

 

 ⑤役員報酬以上の金額を持ち出さないようにする。
 ・役員報酬が多すぎて、法人で資金が足りなくなった場合は、
  社長が資金を法人にいれることがあるかと思いますが、そういった場合は
  「役員借入金」となり、大きな問題はありません。
 ・一方で役員報酬が生活費よりも少なく、法人から資金を借りた場合には、
  「役員貸付金」となり、利息を課さなくてはなりません。
  また、銀行からの見栄えも非常に悪くなり、融資の際にマイナスに働くこともあります。

 

 ⑥役員報酬決議の議事録を作成する。
 ・会社法上、役員報酬は「株主総会の決議」によって決定します。
  そのため、役員報酬を決めた後は株主総会の議事録を残して保管しましょう。

 
 

 

●まとめ
 役員報酬の説明から金額算出方法、注意点を記載しました。
 役員報酬が多すぎると問題になることが多いため、
 設立初年度は生活費から逆算した金額で設定することをお勧めいたします。

 
 
 

関連コラム:法人設立時の届出
関連コラム:法人口座開設・資本金の入金
関連コラム:社会保険・労働保険手続き

 
 
 
 

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