法人の経費を個人で立替えた場合
2022.02.01
法人の経費を、法人の経営者や従業員が個人で立替えて支払うことがあります。
たとえば、出張先での交通費や宿泊費の支払い、関係者を訪問する際の手土産代の支払い、
事務用品や来客用の茶菓子といったちょっとした買い出しなど、
多くの方が一度は立替え払いをした経験があるのではないでしょうか。
個人で立替えた金銭を法人から返還するには、その法人が定める方法で、経費精算を
する必要があります。
●経費精算の流れ
一般的な経費精算の方法は、まず立替え払いをした本人で「立替経費精算書」を作成し、
所属する部署の責任者に提出して承認を受けてから、経理部門に提出するという流れで行われます。
「立替経費精算書」に記載する内容は、支払い日時、支払い先、支払い金額、支払い内容、
支払いの目的などです。
提出時には、領収書やレシートなどの現物も添付します。
立替えた個人にしてみれば面倒な手続きですが、その支払いが本当に業務上必要なものなのかを
確認しなければ、法人の経費として扱うことができません。
そのため、こうした一連の経費精算のための作業が必要になるのです。
●経費精算にはITツールが便利
在宅ワークの普及やDX化の推進によって、経費精算にITツールを導入したいと考えている法人が
多いのではないでしょうか。
もし、どのように導入するか迷っているのであれば、クラウド会計と連動させることのできる
経費精算システムがおすすめです。
たとえば、freee(フリー)やMF(マネーフォワード)による経費精算ツールでは、
スマートフォンアプリなどでレシートを撮影すると、
自動で「立替経費精算書」に代わるデータを作成できます。
作成したデータは、そのままクラウド上で、経費精算に必要な承認を受けることもできます。
手書きやテンプレートへの手入力などで発生するミスがなくなるほか、
責任者の押印をもらう手間がなくなり、経費精算のための時間を省略できるようになります。
さらに、会計システムと連動させれば、仕訳入力の手間を短縮することも可能ですし、
精算した金額を振り込む際は、経費精算の振込データを出力して使うことで、
効率的に振り込み業務を終了させることができます。
立替え払いをした本人と精算担当者の双方の業務を効率化できることが、
クラウド会計と連動できる経費精算ツールを導入するメリットになります。
●立替え払いの方法に注意
個人で立替払いをする際の支払い方法には、現金払いのほか、口座振り込みや
カード決済による引き落としなどが考えられます。
もし経営者やその家族の個人名義である通帳や、クレジットカードの明細などから
経費を精算するときは、「社長や家族のプライベートの支出も一緒に精算しているかも知れない」
という疑いを持たれてしまわないよう工夫が必要です。
個人名義の口座やクレジットカードで立替え払いをすることがある方は、
事業の関連性を説明できるメールや資料を保管しておくことはもちろん、
その口座やクレジットカードを事業用の支払い専用とするなどの対策をとりましょう。
逆に事業と関連性の無い支出(プライベート支出)のレシート等を、
自宅で保存するのも有効な手段です。
万が一調査があった際に、プライベート支出のレシートを見せることで、
分けていることが客観的に説明出来るためです。
●まとめ
従業員による立替払いは、経費精算ツールの活用が非常に効率が良いです。
また、経営者が日常的に立替払いを精算するのであれば、プライベートのレシート等も保存して、
しっかりと区別していきましょう。
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