創業時の資金調達方法
2022.01.26
事業を成長させるには、創業期、成長期、転換期といったタイミングで、
資金調達を成功させ続けることにあります。
特に創業時は、どんなに素晴らしいビジネスアイデアがあっても、設備を整えるための初期投資や、
事業を軌道に乗せるまでのまとまった運転資金がなければ、
成功への道は遠ざかってしまいます。
資金調達の方法として、もっともよく知られているものといえば、融資の申し込みですが、
このとき、創業支援に積極的な金融機関を選ぶことが重要です。
創業融資の申し込みに適しているのは、「日本政策金融公庫」と「信用金庫」になります。
なぜなら、この2つの金融機関は、個人や中小企業の創業を支援するための融資を、
比較的低い金利で取り扱っているからです。
●日本政策金融公庫の創業融資
主な創業融資は、以下の2つです。
融資の名称 | 対象者 |
新規開業資金 | 新たな事業を事業化させておおむね7年以内の方 |
女性、若者/シニア起業家支援資金 | 女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 |
国民生活事業(個人や小規模な会社向けの融資)であれば、限度額は7,200万円となります。
【信用金庫が独自に行う融資】
信用金庫では、それぞれ独自の融資が用意されています。
たとえば、埼玉縣信用金庫の「さいしん創業支援融資”チャレンジサポートローン”」では、
これから創業する方や創業から5年を経過していない方に向けて、
1,000万円以内の融資枠が用意されています。
【制度融資・信用保証付き融資】
信用金庫など民間の金融機関では、その金融機関が独自に取り扱う融資の他に、
自治体と連携して行う「制度融資」や、信用保証協会と連携して行う
「信用保証付き融資」も扱っていることがあります。
「制度融資」とは、自治体が融資の返済をサポートするため、
金融機関に支払う利息の 一部を補給する融資のことです。
「信用保証付き融資」とは、信用保証協会が債務を保証する融資をいいます。
借主は、信用保証協会に保証料を支払わなければなりませんが、その分、
金融機関からは大きい額での融資を受けやすくなります。
(参考)埼玉県の制度融資(信用保証を付けることもできます)
新事業創出貸付 | 創業前の方や創業後5年までの方を対象とする融資(限度額1,500万円) |
独立開業貸付 | 創業前の方や創業後2年までの方で、資格や勤務経験を活かして開業する方を対象とする融資(限度額3,000万円) |
●創業時の融資には「事業計画」が必要
融資を申し込むには、金融機関が指定する書類を準備しなければなりません。
その中で、もっとも重要な書類が「事業計画書」(創業計画書)です。
事業計画書とは、事業の概要、ビジネスモデル、マーケティング戦略、
3年から5年ほどの具体的な業績予想などを記載した書面をいいます。
金融機関にしてみれば、創業融資とは実績のない者にお金を貸す行為です。
そのため、信頼できる事業計画の内容は、融資判断に与える影響は非常に大きいものとなります。
ただし、根拠のない数字を計画書に散りばめても良い結果にはなりませんので、
創業支援のプロのアドバイスを受けて作成することをおすすめします。
●金融機関の融資以外の資金調達
金融機関からの借り入れが難しい場合は、以下のような資金調達方法もあります。
【親族からの借り入れ】
親族の中に借り入れができる相手がいる場合の資金調達方法です。
ただし、出世払いのようなあいまいな話で資金を受け取ると、
贈与税の課税対象とみなされることがあるため、親族といっても契約書を
きちんと作成し、適正な利子を支払うなどの対策が必要になります。
【消費者ローン】
銀行や消費者金融などが扱うローンをいいます。
事業目的に限られず、審査が早くて借りやすい場合が多いのですが、その分、
金利が高いことに注意が必要です。
【クラウドファンディング】
インターネットを利用し、不特定多数から資金を調達することです。
寄附であるため返済する必要はありませんし、出資ではないため、
資本に組み入れる必要もありません。
専用のプラットフォームで募集する方法が一般的ですが、自身でも、HPやSNS、
動画配信などで呼びかけをし、多くの人からの共感を集める戦略が必要となります。
【補助金・助成金】
自治体が独自に行う、創業支援のための補助金・助成金に応募するという選択肢もあります。
ただし、補助金や助成金とは、支出した費用の一部が後から補充されるものですので、
全額を受け取れるわけではなく、また、金銭は先に負担しなければなりません。
それでも、融資と違って返済する必要がないことに利点があります。
公募は不定期ですので、自治体のホームページなどをこまめにチェックすることが必要です。
●まとめ
低金利で多額の借入をするなら、やはり金融機関からの資金調達が一番です。
資金調達を成功させるためにも、事業計画で
「自社の強みは〇〇であるために、どういう人を、どのように集客して、
何を販売して、売上をたて、利益を出すのか」
を客観的に分かるようにしていきましょう。
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